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先週のサマリー:米国債券上昇、米国株上昇、原油下落
こんにちはCantomです。
先週は債券と株式が強く、原油が弱い一週間になりました。
主要な取引銘柄をまとめると次のような感じです。
- TLT: 106.85 (+1.19%)
- TBF: 21.21 (-1.07%)
- S&P500: 3916.65 (+1.43%)
- NDQ : 12519.88 (+5.83%)
- WTI : 66.93(-13.24%)
- DXY: 103.86 (-0.74%)
- USD/JPY: 131.83(-2.39%)
先週のCPIの影響は限定的でSVBを含めた銀行危機の救済が市場テーマとなる一週間でした。一時的に金利の反発は見られましたが想定通りに債券の強さが確認される一週間でした。結果的にナスダックが急騰しましたが、債券ブルやドル円ショートで安心して利益を上げることが出来る環境でしたね。やはり金利動向に注目しておけば投資で安定した成績を出すことができます。

僕はTMFを中心にトレードし+8%程度取ることが出来ました。2週間で+20%程の利益なので目標値を大きく超える成績となりました。先週は原油がレンジを下方にブレイクしたことに注目です!
中長期の視点と戦略
引き続き長期的なスタンスとしてはFRBの金利引き上げ終了が近いと判断し、米国債券への投資を積極的に検討すべき時期との判断を堅持します。
また中期的には株価全体は緩やかな上昇かレンジ相場を形成する流れが続き、FRBが金融緩和を検討し始めるであろう頃に、本格的なクラッシュが再開すると見ています。恐らくは2023年後半から2024年の早い時期となるとの想定です。急激な金融引締めの悪影響は確実に現れます。
各国の中央銀行は自分たちの影響力を過小評価していたと考えています。コロナ禍以降の高いインフレ率は異次元の金融緩和の影響が大きく、現在進められている金利引き上げとQTは、その間違いを修正するためのプロセスです。今回は急激な引締めという逆方向の政策で同じ間違いが繰り返されると思います。

先週はシリコンバレー銀行(SVB)の巨額赤字が話題になりました。FRBが強烈な金融引締めを行ったことで、彼らが緩和中に取得した債券資産の価値が暴落したことに端を発したようです。FRBの間違いが表面化し始めているのかもしれません。
今回の利上げ後も過去数十年と同じパターンになると考えれば、金利引き下げが近づく頃に資源相場の崩壊、株価クラッシュ、VIXの暴騰、といった現象が起こり始めると思います。このフェーズではインバース商品で短期間で莫大な利益が得られる可能性があります。2023年は債券銘柄を中心に構築し、全体のポジションは軽くしてチャンスに備えておきましょう。(インバース取引を行わない場合は債券は強力なリスクヘッジになります。)
- 債券ETF購入のタイミングはこちらの記事で解説しています
原油先物市場で期先のコントラクトが再びコンタンゴに大きく傾いてきました。銀行危機により景気の先行き不安は強くなってきたようです。バックワーデーションへの回帰はキャンセルされ、12月末から3月中旬まで続いていた82-72のレンジをついに下抜けました。月足レベルでのレンジがついにブレイクした格好です。晩春から初夏に向けて50ドル以下になることをメインシナリオとします。
短期的な視点と戦略
それでは今週も短期的なチャンスがないか探って見ましょう。
主要な経済指標
注目のポイント
個人的には3月22日発表のFOMC政策会合を最重要視しています。
市場予想は0.25bpsの政策金利引き上げとなっています。今後の政策方針についてどの様なアナウンスメントがされるかにフォーカスしておきたいです。追加引き締めはあり得るなど、市場センチメントを読まない発言が出た場合は、債券価格や株価がネガティブな反応をする可能性が高いと思います。今週については債券ブル勢も警戒はしておいた方が良さそうです。
注目のファンダメンタル
こちらの記事でも書いていますが過去と同じパターンに当てはめると、「CPIYOY」から「一ヶ月短期債金利」を引いた数値がマイナス1辺りなるまで利上げは終わらないので、市場の期待通りに25bpsの利上げを実施したとしても、「CPIYOY」が4.5%以下を記録しないと実現しません。かなり厳しい目標に見えるので政策金利上昇の流れは簡単には終わらないと考えるのが理にかなっている気がします。
個人的に市場予測が楽観的になりすぎている印象があります。まだ失業率も3.6%と低いためFRBがインフレ潰しの手を簡単に緩めると考えるのは危険かもしれません。


テクニカル
米国30年債金利
4時間足チャートです。先週の分析通りに3.6%と3.5%辺りのレジスタンスで弾かれました。注目点としてはベアフラッグの形成が観察できるところです。下限をブレイクするのは時間の問題と考えていますが、一旦大きめに跳ね返される可能性もあります。過去2週間で成功を収めた債券ブルは勇み過ぎないように気を付けておきたいところです。下方ブレイクを確認したら3%割れに向けて攻めやすくなってくるでしょう。

S&P500
週足チャートです。先週は3808辺りをボトムに反発が見られました。4000程度までの上昇はあるかもしれませんが楽観的に構えすぎるのは危険な雰囲気です。引き続きボラティリティは高く推移することが予想されるので、ロング・ショート共に短期トレードに徹したいところです。中期的に見ると控えめに3500~3600までの下落があってもおかしくなさそうです。僕は基本的に弱気目線です。

ドル円
日足チャートです。先週の分析通りに円高が進みましたね。今週は130.5円辺りにレジスタンスがあるように見えるので、ショートポジションの利食いを考えて行くと良いと思います。急激な日米中期債の金利差縮小が進んだこともあり、若干の調整があってもおかしくはありません。少し円安が進んだところでショートポジションの作り直し、サポートをブレイクしたらショートポジションで追随が安全でしょう。

日米5年債金利差
週足チャートです。日米金利差が縮小に転換した可能性が高いと考えています。これまで通り「FRBの政策金利引き上げ終了予測」か「日銀の金融引締め開始予測」が重要なカギになってきますが、最近の銀行危機を発端として「金融危機 > FRBの政策転換」が連想されるシナリオの完成を見たと考えています。一方で市場は金融緩和を織り込み過ぎているように感じます。FOMCでインフレと戦う強い姿勢が示されることで金利動向は荒れる可能性が十分にあります。

原油
週足チャートです。ついに約3ヵ月に渡って形成されてきたレンジを下方にブレイクしました。ここ3週間ほどバックワーデーションへの回帰が危惧される場面もありましたが、これまで溜めてきたエネルギーはかなりのものがあると考えています。僕のメインシナリオは原油は50ドル割れに向けて進んでいくこととなります。短期的にはこれまでのレンジ下限である72ドル辺りに向かって反発を試すことが考えられますが、絶好の売り場となると思われます。

今週の戦略方針
来週はSVB事件に続きクレディスイスの問題も表面化しており緊張感のある相場になりそうです。ですが原油相場が下方向にブレイクしたことで、コモディティのショートに大きなチャンスが巡ってくると考えています。引き続き金利動向にも注意しつつ、今週も有利な銘柄で勝負をしていくようにしたいですね。
参考になれば幸いです。