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先週のサマリー:米国債券下落、米国株やや下落、原油下落
こんにちはCantomです。
先週は株価、原油、債券が全体的に弱い一週間になりました。
主要な取引銘柄をまとめると次のような結果です。
- TLT: 104.40 (-0.65%)
- TBF: 21.54 (+0.75%)
- S&P500: 4133.51 (-0.10%)
- NDQ : 13000.77 (-0.6%)
- WTI : 77.87(-5.72%)
- DXY: 101.724 (+0.14%)
- USD/JPY: 134.105(+0.28%)
全体的に方向感の定まらない1週間となりました。株式市場の上昇モメンタムが弱まって来ているように感じられます。調整下落が近づいてきているのかもしれません。
中長期の視点と戦略
4月23日時点で気になるデータの追記あり。
引き続き長期的なスタンスとしてはFRBの金利引き上げ終了が近いと判断し、米国債券への投資を積極的に検討すべき時期との判断を堅持します。
また中期的には株価全体は緩やかな上昇かレンジ相場を形成する流れが続き、FRBが金融緩和を検討し始めるであろう頃に、本格的なクラッシュが再開すると見ています。恐らくは2023年後半から2024年の早い時期となるとの想定です。急激な金融引締めの悪影響は確実に現れます。
各国の中央銀行は自分たちの影響力を過小評価していたと考えています。コロナ禍以降の高いインフレ率は異次元の金融緩和の影響が大きく、現在進められている金利引き上げとQTは、その間違いを修正するためのプロセスです。今回は急激な引締めという逆方向の政策で同じ間違いが繰り返されると思います。
2023年3月からの銀行危機の進展次第ではシナリオの前倒しもあると考えています。
今回の利上げ後も過去数十年と同じパターンになると考えれば、金利引き下げが近づく頃に資源相場の崩壊、株価クラッシュ、VIXの暴騰、といった現象が起こり始めると思います。このフェーズではインバース商品で短期間で莫大な利益が得られる可能性があります。2023年は債券銘柄を中心に構築し、全体のポジションは軽くしてチャンスに備えておきましょう。(インバース取引を行わない場合は債券は強力なリスクヘッジになります。)
- 債券ETF購入のタイミングはこちらの記事で解説しています
最近の米国1ヶ月債金利の急低下が気になるところです。2023年4月23日現在のイールドカーブが、リーマンショックに至る2007年1月のものと非常に似ています。2007年には株価の本格的なクラッシュが開始するまでに数カ月間の猶予があったため、いますぐに株価が下落を開始すると断言できるものではありません。ですが株式や社債などへの投資は警戒すべき状況になってきているように思われます。
原油はバンド内の動きを想定していましたが、OPEC+の減産によってテクニカル的な水準が壊されてしまいました。82辺りのレジスタンスを越えたため最大で95ドル程度までの上昇はあり得ると考えています。バックワーデーションの解消まではショート戦略は危険との認識です。
短期的な視点と戦略
それでは今週も短期的なチャンスがないか探って見ましょう。
主要な経済指標
短期戦略構築のポイント
個人的にはGDPと失業保険関連の指標に注目したいところです。
先週と同様に市場に与えるインパクトが大きいものは少ないと考えていますので、今週も引き続きテクニカル中心で対応を考えていきたいところです。
注目のファンダメンタル
中長期戦略の所でも書きましたが4月になり米国1カ月債の金利が急激に下落しています。次のCPIYOYと失業率の結果次第では、より期間の長い債券金利の低下に繋がっていくことが考えられます。次回のFOMCで利上げ終了だと仮定しても市場は非常に前のめりになっているように見えます。僕たちのような一般投資家の耳に入っていないような「何か」が進んでいる可能性もあるため警戒感を強めておきたいところです。
一方で米国の失業率が3.5%と低い状況です。インフレの芽が摘み取られたと楽観することは難しく、FRBがインフレ潰しの手を簡単に緩めると考えるのは危険でしょう。この様な理解が難しい矛盾した状況の時には相場から距離を置くという事も危機管理をする上で大切です。
ここ2週間ほど僕は相場の雰囲気に違和感を感じ始めています。投資は投資であってギャンブルではないため、無理なポジション取りをしないように気を付けたいところです。ギャンブルになると仮に利益が出たとしても出口戦略を描くことが難しくなります。投資は「入り口」と「出口」の戦略が揃ってこそのものです。
テクニカル
米国30年債金利
4時間足チャートです。先週も債券安を想定した戦略が上手く機能する1週間でした。僕は3.81%辺りでTMFで切り返して利益を少し稼ぎましたが、先週の分析通りにTMVのみでも十分な利益を生み出せたはずです。30年債だけを見れば金利の上昇も継続すると考えるのが妥当に思われますが1カ月債金利が暴落しています。ここは警戒感を強めて今週はノータッチ戦略も良いかもしれません。
S&P500
日足チャートです。日足ベースで見るとストキャスティクスでダイバージェンスが発生しています。そろそろ下落圧力が強まってくることが想定されます。積極的に勝負をするならSPXS等を使って短期で利ザヤを軽くさらっていくのが良いかもしれません。またエントリーするならサポートラインをしっかり割ってから、利食いのタイミングは日足チャートの窓埋め付近が良いでしょう。リスクの高い上級者向けの戦い方となるので、ブルポジションを持っているのであれば利食いをして様子見というのも悪くないと思います。実際に僕は木曜日にRRSP(日本のIDECOにあたります)の積立投資の全てを利益確定して様子見に入っています。
ドル円
日足チャートです。先週は方向感が乏しいながらも、やや円安という流れになりました。下でも触れますが日米5年債金利差の拡大には限界があるように見えるため、金利差を理由とした円安を期待するのは難しそうです。一方でDXYがトレンド転換した場合は底堅さにつながる事が考えられます。総合的に見ると小さいレンジ内での動きに落ち着きそうです。無理して取引する必要はない地合いとの判断ですが、やるのであれば1時間足や4時間足を見て50pips程度の細かい利食いを狙っていくような戦略が良いと思われます。
日米5年債金利差
日足チャートです。引き続き週足単位でのスローストキャスティクスの動きは気になりますが、日足レベルで観察すると限界が近づきつつあるように見えます。この日米金利差を利用した分析手法は平時であれば効果的ですが、今の様な短期金利の暴落は平時では起きないため状況のため無視するのは危険だと考えています。ドル円についてはリスクとリターンのバランスが悪い印象なので今はノータッチで良いかもしれません。休むも相場でしょう。
原油
週足チャートです。原油は不確定要素が多くなってしまったため投資対象としてはノータッチにしていますが、他のリスク資産の投資タイミングを見極める上で観察は続けていきます。最近は精度が非常に落ちてしまっているためチャート分析については割愛しますが、原油価格の暴落は市場全体の底打ち確認に効果的です。
いずれにしてもバックワーデーションの状態になっているため売りで攻めにくい環境です。コンタンゴに戻ってから取引を再開することを検討しています。
今週の戦略方針
今週はここ数カ月間で最も動きが読みにくい相場環境との印象です。勝負をするのであればSPXSやSQQQでのショート戦略になりますが、不確定要素が多いため僕は今週の取引は見送りも検討しています。最近は損失を出しているトレーダーが多いとも聞きます。難しい相場環境では無理をしないことが大切です。
参考になれば幸いです。