今週の戦略

今週の戦略(2023年):5月15日~5月19日 – 債務上限問題とDXYチャートが示す危険信号!

今週の戦略, weekly strategy

先週のサマリー:米国債券下落、原油下落、米国株均衡

こんにちはCantomです。

先週は債券と原油が弱く、株価はやや方向感のない一週間になりました。

主要な取引銘柄をまとめると次のような結果です。

  • TLT: 104.27 (-0.59%)
  • TBF: 21.53 (+0.70%)
  • S&P500: 4124.07 (-0.29%)
  • NDQ : 13340.18 (+0.61%)
  • WTI : 70.04(-1.72%)
  • DXY: 102.705 (+1.40%)
  • USD/JPY: 135.744(+0.68%)

僕は先週はDXYの反転を確信しシルバーのショート取引を行いましたが、やはりドル高に大きく動く一週間となりました。今後はドル高がトレンド化する可能性が高まっているという認識です。

中長期の視点と戦略

5月14日時点で若干の追記があります。

引き続き長期的なスタンスとしてはFRBの金利引き上げ終了が近いと判断し、米国債券への投資を積極的に検討すべき時期との判断を堅持します。

また中期的には株価全体は緩やかな上昇かレンジ相場を形成する流れが続き、FRBが金融緩和を検討し始めるであろう頃に、本格的なクラッシュが再開すると見ています。恐らくは2023年後半から2024年の早い時期となるとの想定です。急激な金融引締めの悪影響は確実に現れます。

各国の中央銀行は自分たちの影響力を過小評価していたと考えています。コロナ禍以降の高いインフレ率は異次元の金融緩和の影響が大きく、現在進められている金利引き上げとQTは、その間違いを修正するためのプロセスです。今回は急激な引締めという逆方向の政策で同じ間違いが繰り返されると思います。

Cantom

2023年3月からの銀行危機の進展次第ではシナリオの前倒しもあると考えています。

今回の利上げ後も過去数十年と同じパターンになると考えれば、金利引き下げが近づく頃に資源相場の崩壊、株価クラッシュ、VIXの暴騰、といった現象が起こり始めると思います。このフェーズではインバース商品で短期間で莫大な利益が得られる可能性があります。2023年は債券銘柄を中心に構築し、全体のポジションは軽くしてチャンスに備えておきましょう。(インバース取引を行わない場合は債券は強力なリスクヘッジになります。)

最近の米国1ヶ月債金利の乱高下が気になります。2007年当時も短期金利が一時的に急騰したことが確認できているので、2023年5月14日現在のイールドカーブの状況は危険なサインであるように見えます(イールドカーブの状況についてはこちらの記事も参考にしてみてください)。2007年には株価の本格的なクラッシュが開始するまでに数カ月間の猶予があったため、いますぐに株価が下落を開始すると断言できるものではありません。ですが株式や社債などへの投資は警戒すべき状況になってきているように思われます。

株式投資への継続については出口戦略を練っておきたいところです。またスタグフレーションが実現すると国債への投資で期待ほどのリターンが得られなくなると考えられます(金利上昇=債券価格下落)。そのため投資は金や銀への分散も検討しておくと良いかもしれません。

Cantom

このシナリオでは金や銀への投資はドル高との綱引きの状態となるのでDXY指数を注意深く観察する必要があります。米国がQEを行えない場合は米国株はしばらく冬の時代を迎える可能性があります。

原油については需要破壊の確認によって市場全体の底を判断できるとのスタンスです。失業率上昇もセットで付いて来るため状況を観察しておきたいところです。今後の投資チャンスを逃さないように原油の価格動向は要チェックです。現在はバックワーデーションであることもあり、原油の需要破壊は発生していません。

短期的な視点と戦略

それでは今週も短期的なチャンスがないか探って見ましょう。

主要な経済指標

短期戦略構築のポイント

しばらくは米国の債務上限問題の動向に注目です。

テクニカル的にも重要なサインが出ているため僕はリスクオフによる全体安を警戒するべきスタンスです。

キャッシュポジションを多めにするかインバース取引が有効でしょう。

詳しくは下で見ていきます。

注目のファンダメンタル

CPIYOY-US01MYがマイナス-0.93を記録したことで米国債券の買い判断が出来る状況になりました。しかし注意点としては今の米国は債務上限問題で大きく揺れている状況です。短期的に米国債が売り込まれる可能性があるため、この問題が政治的に解決したら買って行きたいところです。下でも少し触れますが、これは原則として金利と逆相関の関係にあるDXYの反転からも説得力のあるところだと考えています。

CME Fedwatchから判断すると後1回の追加利上げの可能性がややある程度で原則として利上げ終了と解釈できます。
現在の「CPIYOY」から「一ヶ月短期債金利」を引いた数値はマイナス0.79です。過去2回はマイナス1.0が転換点でした。

テクニカル

米国30年債金利

週足チャートです。週足ベースでトライアングルの上限にあることが分かるかと思います。通常の環境であれば金利低下をメインシナリオに考えるところですが、ドル指数(DXY)に注目すると分が悪い勝負に見えます。金利上昇はドル指数と正の相関になるため、トライアングルの上方向にブレイクアウトするリスクを意識すべきに見えます。TMFにせよTMVにせよこのトライアングルのブレイクアウト次第でシナリオを練ることになります。

トライアングルとベアフラッグの両方に注目です。
DXYは週足ベースで上にブレイクアウト。ダイバージェンスも確認できるため勢いが続くと考えるのが自然です。
S&P500

週足チャートです。ここ数週間は上値の重い展開が続いていますが上でも触れたDXYのブレイクアウトは大きなリスク要因です。週足チャートから判断すると値余地は少ないように見えるためここから買う理由はないと判断しています。

今は無理して買う必要もない環境に見えます。
ドル円

週足チャートです。金利動向を反映してドル円のレートも右往左往している環境です。上でも触れたのですがDXYがトレンド反転したと考えているためドル円は底堅い展開を想定しています。債務上限問題でリスク回避の円買いも出てくることが想定されるため小動きになるのではないかと考えています。債務上限問題が解決すると金利低下を受けてドル安円高に流れる可能性が高いため、方向性が見えるまではトレードせずに待つのも悪くないかもしれません

債務上限問題が解決するまでは乱高下の可能性が高いです。
日米5年債金利差

週足チャートです。DXYのトレンド転換を受けて金利上昇を意識するのがメインシナリオです。日本側から積極的な引締め政策が出てくるとは考えにくいため金利差縮小トレンドの再開は暫くお預けと考えておくと良さそうです。

債務上限問題で金利上昇&ドル高という皮肉な流れになって来そうです。
原油

足チャートです。原油は不確定要素が多くなってしまったため投資対象としてはノータッチにしていますが、他のリスク資産の投資タイミングを見極める上で観察は続けていきます。最近は精度が非常に落ちてしまっているためチャート分析については割愛しますが、原油価格の暴落は市場全体の底打ち確認に効果的です。

原則として原油相場の崩壊はドル高とセットで起き。チャート的にはOPEC介入があり難しい相場ですが、今後のDXYの動向には注目をしていく必要があると思います。

コロナショックは特殊なケースですがドル高が原油暴落のカギになっていることが良く分かります。

今週の戦略方針

今週に最も注目すべきことはDXYの反転の勢いがどうなるかに尽きると思います。基本的に今の地合いでのドル高トレンドは株・コモディティにネガティブな影響があります。僕は先週はシルバーのベアETF(ZSL)で利ザヤを稼ぎましたが、今週も同じ戦略を継続していこうと考えています。基本的に市場全体が軟調になることをメインシナリオに警戒感を高めていきたい環境です。

Cantom

僕がシルバーをショートした理由はドル高シナリオに賭けたものですが、金利上昇のドル高でもリスクオフのドル高でも勝てる勝負だからです。今の様に金利動向がハッキリしない場合に有効な戦略だと考えています。

参考になれば幸いです。

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