債券 理論

金利(1):長期金利と債券価格の変動

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長期金利の仕組みを理解して上手に資産運用をしよう!

こんにちはCantomです。

記念すべき第一回目の本記事では長期国債の金利と債券価格について解説をしていきたいと思います。

投資銘柄としては玄人向けなイメージが強い債券ですが、FRBのような中央銀行が積極的にコントロールをしている資産で、長期債の金利と価格の仕組みを理解できるようになると、とても手堅い資産運用ができるようになります。レバレッジを効かせたETFなども存在するので、安定した運用を望む投資家からリスク選考型の投資家まで仕組みを知っておいて損はありません。

本記事では次の項目について解説します。

長期金利と債券価格

金利と債券価格の仕組みはいたってシンプルです。

  • 金利上昇 = 債券価格は下落
  • 金利低下 = 債券価格が上昇

基本的にはこれだけ覚えておけば問題ありません。

詳しく知りたい方は “InvestopiaのBond Valuation: Calculation,Definition, Formula, and Example” という記事が参考になるので参考にしてみてください。

金利に影響を与える要素

長期的な影響を与える要素は中央銀行の金融政策で間違いがないと思います。一方で市場参加者は中央銀行の政策に影響を与えると考え、経済指標が発表されるとポジション調整を行うため債券価格が上下し結果として金利が変化します。例えば債券に対して需要が高くなると債券価格が上昇するので、金利が低下することになります。市場参加者は様々な指標を見て判断していますが、基本的にはCPI(インフレ率)や失業率を見ておくと良いです。これは中央銀行、特にアメリカのFRBを例に挙げると、彼らの目的は物価と雇用の安定が究極的な目標だからです。この二つの目標はよくデュアル・マンデイト(Dual Mandate)と呼ばれます。

The Federal Reserve Act mandates that the Federal Reserve conduct monetary policy “so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.” Even though the act lists three distinct goals of monetary policy, the Fed’s mandate for monetary policy is commonly known as the dual mandate. The reason is that an economy in which people who want to work either have a job or are likely to find one fairly quickly and in which the price level (meaning a broad measure of the price of goods and services purchased by consumers) is stable creates the conditions needed for interest rates to settle at moderate levels.

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/monetary-policy-what-are-its-goals-how-does-it-work.htm

長期金利が上がるフェーズ

長期的なインフレ期待が高い段階だと考えます。一般的に中央銀行が政策金利を上げるなどの方法で金融引締めを始める頃にグングンと上昇していき、金融引締めの終了が見えて来る頃にターニングポイントを迎えます。つまり債券価格が最も安くなりやすいタイミングと言えます。中央銀行は自分たちの金融政策の方向性を頻繁に公開しているので確認をしておいたほうが良いです。

Cantom

黄色の線が政策金利です。キレイなパターンが出来ていますね。

また金利の上昇は企業のビジネス活動にネガティブな影響があるため政策金利が高くなるにつれて株価の動きが不安定になり下落しやすくなります。当然ながら経済全体の需要低下につながるため原油などの商品価格も下がりやすくなります

金融引締め時はイメージとして体に流れる血の量を少なくするようなものなので、社会に流通する通貨量が減少することで通貨高といった現象も見られます

Cantom

このDJIの長期チャートを見ると政策金利の影響が良く分かりますね。

長期金利が下がるフェーズ

長期的なインフレ期待が低い段階と考えます。中央銀行は経済状況が悪化すると政策金利を下げるなどの方法で金融緩和を行いますが、一般的に政策金利の上昇が止まった時点で既にピークを迎えジワジワと下落をしていく傾向が強いです。一方で政策金利の引き下げが終了した時期に長期金利も底打ちをする傾向があります。これは債券の価格がピークを迎えるという意味です。

この最終段階の頃になると様々な資産の価格が底を打つことが確認できます。経済ショックでこの段階に至った場合には、とんでもない株価や商品価格の暴落が発生していることが珍しくはありません。

長期金利が下がり始めるフェーズだと判断ができたならリスク資産の管理には注意をしておいた方が良いかもしれません。

Cantom

米国長期国債連動型ETFのTLTの長期チャートです。

それぞれのフェーズで生きる銘柄

ここまでの情報で債券を制する者は相場を制すると言っても過言ではないことが分かりました。でも僕たちの様な個人投資家が直接国債を買って運用することはとてもハードルが高く手数料もバカにならないです。しかし最近では証券会社を利用して国債に連動したETFを、わずかな手数料で小額から運用することができます。

国債に連動した代表的なETFには次のようなものがあります。

ブル型ETF(債権の価格上昇を見込んだ銘柄)

  • TLT:最も標準的な米国長期債と連動
  • TMF:TLTに3倍のレバレッジをかけた上級者向け商品

ベア型ETF(債権の価格下落を見こんだ銘柄)

  • TBF: 米国長期債と連動したインバース型商品
  • TMV:TMFのインバース型商品
Cantom

TMVは債券を金利を支払う立場でポジションを持つことになります。この金利は銘柄の価格に反映されていくため、長期保有すると深刻な損失につながる可能性があります。非常にリスクの高い商品のため扱う場合は短期トレードに徹してください。

この記事で投資家として必須の債券に関する知識と運用手段を学ぶことが出来たと思います。2023年は米国FRBの政策転換が見込まれる年です。これから債券投資を始めるには絶好の機会になるかもしれませんね。


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