先週のサマリー:米国債券下落、米国株下落、原油下落
こんにちはCantomです。
先週は債券、株式、原油が総じて弱い一週間になりました。
主要な取引銘柄をまとめると次のような感じです。
- TLT : – 0.98%
- TBF: +1.14%
- SP500 : – 0.28%
- NDQ : + 0.43%
- WTI : – 4.01%
- USD/JPY: + 2.07%
やはり金利上昇とドル高の影響がテーマとして続く形になりました。
Cantomは先週の長期金利の三角持ち合いの反発を狙った逆張りでTMFを超短期で入り損切りを行いましたが、その後のTMVへの持ち替えとSPXUで短期トレードに入り最終的に約+3%で1週間を終えることができました。スイング用のポジションは全て終了、今持っているのは長期保有目的の債券ETFと理論検証用の原油ベアETFだけです。
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中長期の視点と戦略
記事を執筆中の2月17日時点では見通しの変更はありません。
引き続き長期的なスタンスとしてはFRBの金利引き上げ終了が近いと判断し、米国債券への投資を積極的に検討すべき時期との判断を堅持します。
また中期的には株価全体は緩やかな上昇かレンジ相場を形成する流れが続き、FRBが金融緩和を検討し始めるであろう頃に、本格的なクラッシュが再開すると見ています。恐らくは2023年後半から2024年の早い時期となるとの想定です。急激な金融引締めの悪影響は確実に現れます。
各国の中央銀行は自分たちの影響力を過小評価していたと考えています。コロナ禍以降の高いインフレ率は異次元の金融緩和の影響が大きく、現在進められている金利引き上げとQTは、その間違いを修正するためのプロセスです。今回は急激な引締めという逆方向の政策で同じ間違いが繰り返されると思います。
今回の利上げ後も過去数十年と同じパターンになると考えれば、金利引き下げが近づく頃に資源相場の崩壊、株価クラッシュ、VIXの暴騰、といった現象が起こり始めると思います。このフェーズではインバース商品で短期間で莫大な利益が得られる可能性があります。2023年は債券銘柄を中心に構築し、全体のポジションは軽くしてチャンスに備えておきましょう。(インバース取引を行わない場合は債券は強力なリスクヘッジになります。)
- 債券ETF購入のタイミングはこちらの記事で解説しています
原油先物市場で期先のコントラクトがコンタンゴになっている事に注意が必要です。これはマーケットが将来の供給が需要を上回る期待が高いことを示唆しています。今後、原油の価格下落が加速する可能性があるため要注意です。
原油については長期金利の上昇とDXY(ドル指数)上昇は追い風ですが、2月2週にロシアによる減産が発表されてからコンタンゴが縮小気味になっています。長期的なスタンスは変更なしですが、現在の環境で原油をトレードする場合は、戻り高値を売る方針で攻めるのが安全です。万が一バックワーデーションになった場合は、無理して原油のショートは行わないのが無難です。ドル高トレンドが弱まると急騰する可能性があるので注意してください。
短期的な視点と戦略
それでは今週も短期的なチャンスがないか探って見ましょう。
主要な経済指標
注目すべきポイント
今週はそれほど大きなイベントは無い認識です。
長期債券の金利上昇の勢いがどれだけ続くかに注目しつつテクニカル中心で見ていくのが良いと思います。
S&P500やナスダックは金曜日に窓を開けて下落してからギャップを埋めきることが出来ていません。基本的にはこの窓埋めを確認してから金利の上昇と株価の下落基調が継続しそうか複数の時間足チャートを眺めて相場に臨むと安全な印象です。
金利は急騰したので少し戻りを試しても不思議ではないと思います。週明けの超短期では金利低下と株価上昇を見てから、元の基調に戻って行くのではないでしょうか。
注目のファンダメンタル
先週に指摘していたように市場の期待は更なる利上げに傾いたようです。こちらの記事でも書いていますが過去と同じパターンに当てはめると、「CPIYOY」から「一ヶ月短期債金利」を引いた数値がマイナス1辺りなるまで利上げは終わらないので、更に75bpsの利上げを実施したとしても、「CPIYOY」が4.5%以下を記録しないと実現しません。かなり厳しい目標に見えるので金利上昇の流れは簡単には終わらないと考えるのが理にかなっている気がします。
テクニカル
米国30年債
日足チャートです。これまで一方的に上げてきたため、僕の肌感覚で少し疲れの様なものを感じます。少しガス抜きをしてから4.0%を目指していく流れを想定しています。もしサポートラインを割った場合は流れに身を任せましょう。債券は素直な動きをすることが殆どです。
21日発表の住宅在庫が好況を示すようであれば金利上昇に弾みがつきそうです。
S&P500
日足チャートです。金曜日に窓を開けて下げでスタートしたのですが、結局このギャップを埋めることが出来ないまま、大きな下髭を残してクローズとなりました。チャート的には上に上昇する余力を十分に残しているように見えるため、週明けにすぐショートポジションを作るのは余り良いアイディアには見えません。4,100 ~ 4,130辺りまで上昇を待ってから戻り売りを狙うのが良いと思います。前週の高値を超えてくると上昇に勢いがつく可能性があるので注意はしておきたいところです。金利上昇とドル高トレンドにより、SP500は下落トレンドの道筋はある程度出来上がったと考えていますが、本格的な暴落を狙うのであればSVXYのトレンドが崩れてから入ることを検討してみてください。
SVXYはVIX指数をショートする銘柄です。クラッシュが起きるまでなだらかな上昇トレンドを作る特徴があります。
ドル円
日足チャートです。分析通りに良い感じに上がってきましたがスローストキャスティクスに過熱感が見られます。債券金利の上昇が急激だったことを反映しているものでもあります。ここは戻りを試してバンドウォークを展開することを想定しておきたいところです。上昇トレンドは継続しているとの認識ですがガンガンと上がるようなものではないので、コツコツと小さな波を取っては利食いを繰り返すイメージが大切です。来週は金利上昇が勢いを吹き返すのを確認するまでは下げ目線で良いと思います。
日米5年債金利差
日足チャートです。引き続き日米の金利差縮小のトレンドが反転した状況と判断しています。来週は少し戻りを試していくことをメインシナリオに考えていますが、金利差縮小のトレンドが発生するには「FRBの政策金利引き上げ終了予測」か「日銀の金融引締め開始予測」が重要なカギになってきます。そのような具体的材料が出てくるまでは基本的に円安シナリオで問題ないと思います。
原油
ドル高の影響で上値は限定的となりました。ここ2週間はコンタンゴが縮小気味であること、来週は金利上昇に少しだけブレーキがかかりそうという理由から下落圧力が少し弱まりそうな印象はあります。一方でテクニカル的には売りのサインも出始めていて判断が難しい状況です。3月1週から週足で雲の捻じれが発生していて大きなトレンド発生が近づいている事をチャートは示唆しています(ドル高を受けた急落がメインシナリオではあります)。短期的にはより簡単な選択肢があるため、債券などの銘柄にフォーカスするのが良いかと思います。これはエントリーの判断がギャンブルだとイグジットの判断が難しくなるとの考えからです。取引する場合は30分足チャートなどを使った超短期トレードを推奨します。
僕は理論の検証をするために長期ポジションを保有中ですが、基本的に原油は自信がある時にたまに入ってゴッソリと利益を頂いたらサヨナラのスタンスです。
今週の戦略方針
今週も金利の動向に注目したい1週間ですが過去3週間のように一方的になるとタカをくくると怪我をし易そうな雰囲気に見えます。僕は週明けからすぐにトレードする予定はなく、長期債の金利動向を眺めながらTMVかSPXUでトレードのチャンスを探っていくつもりです。
今回の記事が参考になれば幸いです!