先週のサマリー:米国債券下落、米国株下落、原油上昇
こんにちはCantomです。
先週は債券、株式が弱く、原油が強い一週間になりました。
主要な取引銘柄をまとめると次のような感じです。
- TLT : – 3.10%
- TBF : +3.45%
- SP500 : – 1.11%
- NDQ : – 2.14%
- WTI : + 8.96%
- USD/JPY: + 0.19%
やはり金利上昇が市況に大きな影響を与えた1週間でしたが想定と異なり原油が急上昇しました。ロシアが減産すると市場にプレッシャーを与えたことも供給懸念につながったようです。
Cantomは先週のSCOの利益を半分程度に縮小する形でクローズになりましたが、SPXUで株式ショートに入ったため2%程度のプラスを新しく出すことができました。良くもありませんが踏ん張った感じの難しい1週間でした。
Contents
中長期の視点と戦略
引き続き長期的なスタンスとしてはFRBの金利引き上げ終了が近いと判断し、米国債券への投資を積極的に検討すべき時期との判断を堅持します。
また中期的には株価全体は緩やかな上昇かレンジ相場を形成する流れが続き、FRBが金融緩和を検討し始めるであろう頃に、本格的なクラッシュが再開すると見ています。恐らくは2023年後半から2024年の早い時期となるとの想定です。急激な金融引締めの悪影響は確実に現れます。
各国の中央銀行は自分たちの影響力を過小評価していたと考えています。コロナ禍以降の高いインフレ率は異次元の金融緩和の影響が大きく、現在進められている金利引き上げとQTは、その間違いを修正するためのプロセスです。今回は急激な引締めという逆方向の政策で同じ間違いが繰り返されると思います。
今回の利上げ後も過去数十年と同じパターンになると考えれば、金利引き下げが近づく頃に資源相場の崩壊、株価クラッシュ、VIXの暴騰、といった現象が起こり始めると思います。このフェーズではインバース商品で短期間で莫大な利益が得られる可能性があります。2023年は債券銘柄を中心に構築し、全体のポジションは軽くしてチャンスに備えておきましょう。(インバース取引を行わない場合は債券は強力なリスクヘッジになります。)
- 債券ETF購入のタイミングはこちらの記事で解説しています
原油先物市場で期先のコントラクトがコンタンゴになっている事に注意が必要です。これはマーケットが将来の供給が需要を上回る期待が高いことを示唆しています。今後、原油の価格下落が加速する可能性があるため要注意です。
原油については長期金利の上昇とDXY(ドル指数)上昇は追い風ですが、2月2週にロシアによる減産が発表されたことでコンタンゴが縮小気味になっています。長期的なスタンスは変更なしですが、現在の環境で原油をトレードする場合は、戻り高値を売る方針で攻めるのが安全です。万が一バックワーデーションになった場合は、無理して原油のショートは行わないのが無難です。
短期的な視点と戦略
それでは今週も短期的なチャンスがないか探って見ましょう。
主要な経済指標
注目すべきポイント
最も注目されるのは2月14日発表の米国CPIになると思います。
市場予想値は6.2%となっていますが発表される数値がこれを上回る場合はインフレ懸念が強まり、金利上昇による債券安と株安が加速してくると思われます。ドル高圧力も加わると考えられるためコモディティにもネガティブです。逆に予想値を下回る場合は債券高と株高になると思われます。テクニカル的な要素を考慮すると前者をメインシナリオと考えておく方が良さそうに見えます。
注目のファンダメンタル
今週はCPI発表に注目するのは勿論ですが政策金利の市場期待にどう影響するか見ておきたいところです。CME Fedwatchの数字を鵜呑みすれば、現時点でも5.25%-5.50%までの利上げは十分にありえそうです。CPIが上振れすれば政策金利に対する市場コンセンサスは上方修正され、株価にネガティブに影響すると考えられます。来週は相場に入るのであればCPI発表後の市場期待の変化に目を光らせておくべきだと思います。
原油についてはロシア原産の報道も後押しとなりコンタンゴが縮小傾向になっています。ドル高シナリオを前提にすると上値は限定的に見えますが83ドル程度の水準を越えてくる場合は、コンタンゴ解消が重なれば向こう数週間で95ドル程度までの上昇は有りえそうな趨勢です。
テクニカル
米国30年債
これは30年債金利の週足チャートですが三角持ち合いの中の上限あたりの攻防がある事が分かります。先週は強烈な上昇を見せたこともあり、週初は押し戻される可能性もありますが、3.85%を超えていくようなら金利上昇トレンドは継続との判断になります。トレードアイディアとしては週前半は債券ブルで戻りを狙う短期トレードをするか、今後に三角持ち合いの下限あたりまで落ちて来れば債券ベアを待ち構えるのが良さそうです。三角持ち合いの上限をブレイクした場合は債券ベアに付いて行くのが妥当に見えます。
雇用統計以降のインフレ懸念はCPIの数値が落ちなければ消火できないと思います。古典的な考え方ではインフレ率と失業率は逆相関になるので、CPIが予想値より高くなると想定しておくのは順張り的な考え方に見えます。
S&P500
これは4時間足チャートですがこれだけを見るとサポートラインで支えられていて、良い買い場にも見えますがMACDとストキャスティクスが同時にデッドクロスをしているのが気になります。月曜日は上昇して始まりそうですがCPI発表を受けてから大きな動きに発展することを想定しておきたいです。4,130辺りまで上昇すれば戻り売り、サポートラインを割れば売りで追随というの方針で良さそうに見えます。ナスダックの方は既にサポートラインを下方にブレイクしているので、S&P500だけが上昇すると考えるのは不自然な雰囲気があります。
ドル円
これは日足チャートですが上昇トレンドに入ったとの判断は特にかわっていません。日銀の新総裁が植田氏に決まったとの報道で揺れたようですが、着任前からのコメントは控えており相場のトレンドを決定付ける様な要素にはなっていないとの認識です。今後はジワジワと上昇をしてくるイメージですが、安値を更新するようなイベントがあった場合は動きが早くなると思われるので注意しておいた方が良いかもしれません。
日米5年債金利差
週足チャートの分析です。先週の時点で日米の金利差縮小のトレンドが反転したと考えられます。短期的には戻りを試す可能性はあるものの、これはドル円上昇のサポート材料となります。金利差縮小が発生するには「FRBの政策金利引き上げ終了予測」か「日銀の金融引締め開始予測」が重要なカギになってきます。そのような具体的材料が出てくるまでは基本的に円安シナリオで問題ないと思います。
原油
72.30ドルから大きな反発となった原油ですがテクニカル的にはベアフラッグ内の動きに見えます。83.20ドル近辺まで上がってきた場合はショートで向かってみるのも一案です。ロングポジションを持っている場合は雲の上限辺りから利食いを入れて行く方針が良さそうです。今の環境では原油価格の上昇は悪性インフレを連想させるので、バンドの上限をブレイクした場合は原油のトレンドに付いて行くか、株や債券ベアも取引の候補に入れてみても良いかもしれません。
個人的にロシアやOPECが原油価格の引き上げに躍起になっているのが気になります。輪ゴムを上方向に思い切り引っ張っている様な状態なので、将来的にFRBの需要潰しの結果ロクでもないことになる気がしてならないです。
総括
今週も金利上昇による債券価格と株価への下落圧力に注意したい1週間になりそうです。特に火曜日のCPIはマーケットに対してとても大きな影響を与えることが想定されるので決して目を離せませんね。引き続き緊張感を持ってマーケットを見ていきましょう!
今回の記事が参考になれば幸いです!