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商品(1):需要破壊と新たな成長の始まり

demand destruction

商品相場を観察して経済の体温を測れるようになろう!

こんにちはCantomです。

今回は商品相場の中でもメジャーな原油相場の需要破壊を中心に考察をしていきたいと思います(天然ガスにも少し触れます!)。リスクを考えるとコモディティ投資を推奨するものではないのですが、商品相場について理解を深めることは債券相場についての理解を含める事と同じくらいに重要な意味があると思います。特に株式相場で底値を狙いたいと考えているタイプの投資家であれば、商品相場の需要破壊という現象を押さえておくと投資家として見える景色が少し変わるかもしれませんよ!

どうして原油相場を観察するのか?

理由は単純で原油は我々の生活の様々な場面で利用されている事から経済活動の体温を測るのに最適だからです。需要が死んでしまった時は、経済状況としては最悪期になります。当然ながら中央銀行が必死に経済を復活させようとアクションを起こしているので投資を始めるには最高の時期となります。

Cantom

2022年はロシアの問題がありましたが、原油価格に関して言えば若干ノイズを発生させる程度でした。相場には”Don’t fight the Fed = 中央銀行に逆らうな”という格言があります。金融引締めの効果を反映して原油価格が落ちていったことは記憶に新しいかと思います。

リーマンショック前夜にも原油価格が300ドルまで上昇すると吹聴する人達が一定数いましたが、中央銀行の影響力を知っているなら出てこない発言です。(仮に上昇したとしても達成までの時間がかかればかかるほど、原油ブルのポジションはDecayにより価値が下がります。原油ブルは長期投資の対象として不適格という結論が出ています。特にレバの効いているUCOの長期チャートを見ると絶望できますよ!現在の価格は15年前の0.6%です。)

ロスチャイルド家がサヤすべり取りで莫大な富を築けたことからも分かるように、コンタンゴ発生時のコモディティショートは早期にエントリーできれば大きなチャンスになり得ます。詳しくは先物取引のコンタンゴとバックウォーデーションを中心とした記事で今後紹介します。

原油相場の底打ちを判断する方法

原油は様々な理由で急騰と急落を繰り返すことがあるため絶対的な方法はないと考えていますが、非常に高い精度で底打ちを判断できるタイミングはあります。これまでの金利シリーズを読んでいただいた読者の方であれば既に察しがついているかと思いますが、やはり中央銀行が金利引き下げをやりきったタイミングになります。原油のチャートを見てみましょう。

Cantom

黄色の実線が政策金利です。金利を下げ切ったところで原油価格が底打ちをしているのが確認できると思います。

原油の月足チャート

そもそも原油相場が崩壊した状況とは?

端的に説明すると供給が需要を大きく上回った状況と言えます。経済学では一般的に需要破壊(demand destruction)と呼ばれる現象ですが、Cantomは経済学者と呼べるレベルではないのでInvestopiaの解説も引用します。

原文

In economics, demand destruction refers to a permanent or sustained decline in the demand for a certain good in response to persistent high prices or limited supply. Because of persistent high prices, consumers may decide that it is not worth purchasing as much of that good, or seek out alternatives as substitutes.

Demand destruction is most often associated with the demand for oil or other energy commodities.

邦訳

経済学において需要破壊とは、価格の高止まりや供給の制限に反応して、ある財に対する需要が永続的または持続的に減少することを指す。価格の高止まりにより、消費者はその財をそれほど購入する価値がないと判断したり、代用品として代替品を求めたりすることがある。

需要破壊は、石油やその他のエネルギー商品に対する需要に最もよく関連している。

https://www.investopedia.com/demand-destruction-5222107

原油相場の需要破壊を事前に察知するには?

原油先物のコントラクトを観察することが大切です。需要が供給を大きく上回る時期は、バックワーデーションと呼ばれる期先のコントラクトの価格が低くなる、つまり買い手優位の現象が発生します(将来の価格の方が低い状態)。本来であれば商品の保管コストなどを期先のコントラクトに上乗せができる、コンタンゴと呼ばれる将来の価格の方が高い、売り手優位の状況が通常の状態となります(将来の価格の方が高い状態)。

需要破壊が発生する前触れとしてバックワーデーション(そもそも異常事態です)の解消が起きていないかを確認する方法が有効と思われます。一例として政策金利引き下げ前の出来事のため少しイレギュラーですが、ロシア・ウクライナ戦争の影響で天然ガスの先物にはバックワーデーションが発生していました。このバックワーデーションが2022年11月のコントラクト辺りから解消されていることが観察できたのですが、チャートを見ていただくと分かるように以降の大暴落に続いています。11月頃と言えばメディアがこぞってヨーロッパの資源価格暴騰について不安を煽っていた頃です。

期先のコントラクト状況はYahoo! Financeなどで無料で簡単に確認ができるので月に一回くらい観察してみると良いですよ。

天然ガスの月足チャート(チャートからは見えない需給の観察も大事です!)
Cantom

原油についても2023年1月からバックワーデーションの解消が確認できるため、原油も需要が大きく下がり始めている可能性があります。Cantomのメインシナリオでは原油暴落はもっと先との想定ですが、コンタンゴの発生は大きな意味を持つと考えて注目しています。

実際の運用にどの様に生かしたら良いの?

原油を含めた商品相場はハイリスクのため誰にでもオススメできるものではありませんが、一般的にトレードはCFDかETF/ETNで行うことになると思います。もしトレードをするのであれば次のポイントを抑えておくと勝率を上げるのに役立つかもしれません。

  • コンタンゴのロールオーバー効果が有利なインバース型の商品(例:2039)を選ぶ。
  • 原則として短期投資に徹して長期保有してはならないと考えること。(特にブル型の商品は長期保有すると確実に負けます。)
Cantom

絶対にブル型のETFなどを長期保有しないでくださいね。例えば原油ブルETFのUCOは15年ほどで価値は0.6%以下に下落、天然ガスブルETFのHOUは15年でその価値は0.003%になりました。Cantomとしては無理に原油などをポートフォリオにいれず、政策金利、商品相場、株式市場が揃って底打ちしたところで株式投資のチャンスとしてとらえる考え方で良いと思います。安い資源と低金利は企業にとって最高の環境ですよ!(基本は債券ブルと株式ブルのローテーションが黄金則です。)

今回の記事が参考になれば幸いです!

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